【イスラム教②】スンニ派とシーア派の違い!〜イスラム教って宗派の違いで戦争してるの?〜気になる所、わかりやすく解説します!

ハローベイベー!
こんにちは杉森です!
さてさて今回は、イスラム教の教派の違いでございます!
キリスト教のカトリックやプロテスタントの様に、イスラム教でも教派の違いがあります。
それでは早速いきましょう!
イスラム教には、どんな教派があるの?
主に「シーア派」と「スンニ派」に大別できる
まずは下図をみてみましょう!
うわお!ほぼスンニ派!そして次にシーア派!そして申し訳程度のその他!
ということで、とりあえずスンニとシーアだけ抑えていたらOKです!
どこの国がスンニ派で、どこの国がシーア派?
下の地図をご覧ください!
濃い茶色=スンニ派で、
明るい茶色=シーア派です。
具体的に国名をあげていきます!
まずは少ない方のシーア派から!
シーア派の代表の国といえば、イラン!国民の95%ほどがシーア派です!
その他は、イラク、アゼルバイジャン、バーレーン、レバノンはシーア派が主流の国です。
次に多い方のスンニ派!
スンニ派の代表の国といえば、サウジアラビア!国民の90%弱がスンニ派です。
その他は、シーア派で挙げた国以外の国は、基本的にスンニ派の国になります。
このように分かれているシーア派とスンニ派ですが、宗教的な基本的な教義はほぼ同じものですし、どちらもクルアーンを大切にしています。
しかし、ニュースなんかで「スンニ派武装勢力が行ったテロで、シーア派の市民が数十名死亡しました」というようなことを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。ニュースなどを聞く限り、このスンニ派とシーア派は、非常に仲が悪そうです。
ではそもそも、このシーア派とスンニ派、なにが違うのでしょうか?
スンニ派とシーア派の違い
そもそもなんでわかれてるの?
イスラム教の誕生時まで遡りましょう。
イスラム教は、ムハンマドが創始者かつリーダーとして作られました。
ムハンマドの死後、そのリーダーの座にはアブー・バクルという人が座りました。
リーダーなので、イスラム教で一番偉い人になります。このポストを、カリフと言います !
そしてこの初代カリフである、アブー・バクルの後は、ウマル1世(2代目カリフ)、ウスマーン(3代目)、アリー(4代目)と続いていきました。
ところが、4代目カリフのアリーが死んだ際、5代目カリフの選出は揉めに揉めました。
揉めた原因は、血筋です。
一方は、「ムハンマド一家の血筋のものがリーダーになるべき!」と声をあげ、もう一方は「血筋関係なく、リーダーとして一番ふさわしい人がなればいいやん!」と言いました。
この意見の別れによって、スンニ派とシーア派の対立が、大々的に表面化しました。
血筋関係無い主義の人たちは、ムアーウィアという新リーダーのもと、ウマイア朝という政府をつくりました。これがスンニ派の始まりです。
一方、血筋が大切主義の人たちは、イマームという新たなリーダーの地位を作り、死んでしまった4代目カリフのアリー(ムハンマドの従兄弟)を初代イマームとし、そのアリーの息子のハサンという人を2代目イマームに任命、その後もスンニ派のウマイア朝と戦ってきました。この人たちが後のシーア派になるのですね。
で、実際なにが違うの?
わかりやすい大きな違いとしては、偶像崇拝に対しての考え方の違いというものがあります。
基本的にイスラム教は偶像崇拝を禁止しているので、神様や創始者ムハンマドの絵画や像などは作られません。また、キリスト教の十字架のような、祈りの対象となるものも存在しません。
しかし、シーア派の大国・イランに行くと、街中やモスクなどの至る所でシーア派イスラム教指導者の写真が多く飾られているのですね。
こんな感じです!
これはイランのスーク(商店街)の写真ですが、真ん中上部の旗の右が現在の指導者のハメネイさん、左がイラン革命を起こした昔の指導者ホメイニさんですね。
このような宗教的指導者の写真や絵画が飾られるということは、スンニ派の国えはほとんどありません。これが、わかりやすい大きな差ですね!
他にも、1日のお祈り回数の違いや、イスラム教徒として抱える義務の違い(スンニ派:五行六信とシーア派:十行五信)などがありますが、両者ともアッラーとクルアーンを信じ、モスクでお祈りし、一年に一回は断食するなど、実際のところ、我々日本人からみてもわかるほどの大きな違いはほとんどない、といえるのではないでしょうか。
スンニ派とシーア派が仲が悪いって本当?
宗派戦争ってなんだ?
そしてやはり、イスラム教の宗派のお話をする上では、この話題は避けて通れません。
長年、多くのメディアではこのスンニ派とシーア派による宗派戦争が起こっていると言われております。
例えば、2011年から起こっているシリア騒乱。このシリア騒乱は、簡単に言うとアサド政権vs反体制派の対立です。このアサド政権は宗派で言うとアラウィー派という宗派に属し、アラウィー派はシーア派の一派とされている宗派です。一方の反体制派は大部分がスンニ派で占められています。そこで、アサド政権にはイランやイラクなどシーア派の国が、反体制派にはサウジアラビアなどのスンニ派の国が支援をしているのですね。
また、イエメンという国でも大統領とフーシさんという人の対立による内戦が起きており、ここでは大統領派がスンニ派、フーシ派はザイド派(シーア派の一派)という形に分かれております。
図にするとこんな感じです。
このように、スンニ派とシーア派で陣営が分かれている戦争を、しばしば「宗派戦争」と呼ばれたりします。
でも、実はスンニ派とシーア派の対立には、大きく分けて2種類あるのです。そして全てが全て宗派が原因で争っているわけではないのですね。むしろ、宗派以外の理由で争っている方が多いです。
では、この「宗派の争い」と「宗派以外での争い」の違いを見ていきましょう。
宗派の争い
宗派の争いとは、文字通り「自分の宗派の考え方をゴリ押しするがために起こる争い」です。これは主に、イスラム教過激派によるものが多いです。
イスラム教過激派とは、「自分たちの理想とするイスラムの教えを完璧に再現するためであれば、例え人を殺しても構わない」と考える人たちです。ISやアルカイダなどが有名ですよね。
この人たちは、自分とは異なる考えを持つもの、すなわち他宗派や他宗教の人は殺しても構わない、と考える傾向があります。したがって、この人たちは宗派の違いが原因で争っていると言えるでしょう。
しかし、この様なイスラム教過激派の人たちは、イスラム教全体でみるとごく一部しか存在しません。
宗派以外での争い
宗派以外の争いとは、目的が「自分の宗派をゴリ押しする」ことではなく、利権や覇権を獲得したいがために起こる争いです。
そしてやはり利権となると、中東という土地柄「石油」に関しては大きいですね。そんな石油に関する利権で争っているのが、中東の2つの大国であるサウジアラビアとイランです。この2つの国は、中東での石油埋蔵量の1位2位を争う国であり、激しく対立しています。そして、国際社会ではやはり対立した2つの国というのは、より多くの仲間を獲得し、その力を大きくたいと考えるのですね。(サウジとイランの関係に関しては、別の記事で詳しく解説いたします!)
例えばシリア騒乱にしてみると、イランとしては中東で数少ない親シーア派(親イラン)政権であるアサド政権に倒れて欲しくないと思うのと同時に、サウジアラビアとしては反体制派に勝ってもらい、サウジアラビアの息がかかるスンニ派政権を樹立したいと考えています。
そしてこれは、イエメンでも同じですね。同じ理由から、サウジサラビア・イランの両国はイエメン内戦にも介入しています。
このような中東の覇権や利権を獲得したいがために、この2つの大国は他の国の戦争に介入します。そして、サウジアラビアとイランはそれぞれスンニ派とシーア派のリーダー的存在なので、イラクやカタールなどのその他の国もそれに連れて介入をする傾向があります。
したがって、このような対立は、「宗派で対立している」のではなく、「覇権争いのを有利に進めたいがために、宗派を利用して仲間を集めている」と言えるのではないでしょうか。(少し悪意のある言い方ですが。)
と、以上のように、決して「スンニ派とシーア派は仲が悪いから対立しているのだ!」とは安直には言い切れない部分もあるのです。
実際のイスラム社会の中でも、一般の人々の間では自分の宗派を意識することはほとんどない人の方が多い様です。中には、欧米のメディアがシーアとスンニの対立ばっかり言うので、それを聞いて逆に意識をしだした、という人もいるくらいです。
とは言っても、実際に国際社会ではシリア情勢の様に、シーア派とスンニ派で2チームに分かれる場合が多いので、ニュースを理解するためには「どの国がスンニ派で、どの国がシーア派の国」という点は理解しておいた方が良いのは間違いがないです。
ただし、「スンニ派とシーア派で分かれているからといって、彼らは宗派で争っているとは言い切れない!」ということは重大な事実なので、覚えておきましょう!
以上!今回はここまでにします!
それではまた別記事でお会いしましょう!チャオ!